欧州へ(6)
【昭和天皇の87年】欧州激戦地の爪痕に学ぶ 「戦争は実に悲惨なものだ…」
欧州へ(6)
欧州滞在中の裕仁皇太子は、第1次世界大戦の傷痕が残る各国君主から直接、戦争の悲惨さを学んでいる。
1921(大正10)年6月10~15日にベルギーを訪れた際、裕仁皇太子の教師役となったのは、当時欧州で英雄国王と呼ばれていた、アルベール皇帝その人だ。
第1次世界大戦前、露仏同盟に挟まれていたドイツの参謀総長アルフレート・シュリーフェンは、開戦した場合、ロシアの総動員態勢が整う前に中立国ベルギーに侵攻してフランス軍を背後から攻め、早期に屈服させてからロシア軍と対決する作戦を立てていた。
シュリーフェン・プランである。
裕仁皇太子の訪問にあたり、アルベール皇帝は、戦争がいかに悲惨であるかを肌で感じてもらおうと考えたようだ。
6月11日には自ら裕仁皇太子を案内し、激戦のパノラマを見せている。
2日後、裕仁皇太子は自ら望んで、最も悲惨な激戦地の一つだったベルギー北西のイープルを視察した。
アルベール皇帝だけでなく英国のジョージ五世からも、ベルギー訪問の際はイープルの戦跡を見学するよう勧められていたからだ。
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